rincoror.in 共働き兼業主夫の戯れ言

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イクメンによる「いいとこ取り育児」は私(男)にとっても遠い国のお話

2014.07

25

子育て / 兼業主夫雑記

「イクメン」って、なんだか余裕のある響きがする。日々あくせくとして泥臭く、怒涛のごとく子育てに呑まれる母親のイメージとは対照的な気分が漂う。私がこれまで見てきた(自称)イクメンたちは、こぞって私とは違い、どこか誇らし気で、さりげない自信を醸し、健康的で自然な笑みを浮かべながら、「子どもと過ごすのは一番幸せなひと時」ときっぱり言い切り、我が子に愛情深い眼差しを注いでいた。手元の辞書(Macに付属の「スーパー大辞林」)で「イクメン」を引いてみると、「俗に,子育てを積極的に楽しむ男性。」とある。彼らのイメージは、まさしくそんなふうだ。

子育てって、そんなに楽しいことばかりでもないだろうに、と訝しく思ってしまう私は、捻くれているのだろうか。いや、批判を投げかけるつもりは毛頭ない。そういうパパに寄り添う子どもは幸せそうだし、奥さんも、お話を伺っているかぎりでは、ことさら不満がありそうでもない。「たとえ休日だけであっても、子どもの面倒を見てくれて感謝している」と満足そうだ(本当かな……)。それでそのご家庭の生活が問題なく回っているのなら、それでいいのだ。

でも、「イクメン」と称する(称される)人との間に、私はどうしても拭えない温度差を感じるし、話が噛み合ないことも多い。疲れ切った私を見て、「何がそんなにしんどいの?」「なんでそんなに時間がないの?」とキョトンとする彼らを前に、私は言葉を失くしてしまう。どうしても嫌な言い方になってしまうが、その余裕は、「いいとこ取り」育児ゆえのものだろう。

こんな記事を見かけた。

「ハレノヒ育児」 ~子育ての「ハレ」と「ケ」考~

始終ニコニコ笑顔で接し、子どもがしたいことをさせ、思う存分甘えさせる育児。それが、「ハレノヒ育児」。

「ハレノヒ育児」 ~子育ての「ハレ」と「ケ」考~

概ね、彼ら父親のやっているのは「ハレノヒ(=晴れの日)育児」。連綿として続く日常からは切り離された、非連続的な一コマであり、それはいわば「イベント」。父親から見ても、子ども側から見ても。そういう意味で、我が家にはたぶん、「父親」がいない。「イベント」がない。毎日あくせくとしているワーキングマザーが二人いるようなもの。そして、同じような日常が、ひたすら続く。

これは、娘にとってはどうなんだろう? と時々思う。家事育児に当事者意識はあまりなく、妻側に負担が偏る(世間的には現状多数派スタイル)反面、気持ちにはゆとりがあり、子どもに対して大らかな対応ができる父親と、ガッツリ兼業主夫で余裕のない子育てをしてしまう父親。どちらがいいのだろう? と(現状後者)。当然、こういう単純な二者択一の問題ではないし、前者になろうと思ってなれる状況でもないし、なりたいわけでもない。だけど、うちのように、夫婦揃ってフルタイムで共働き、夫婦揃って実家は遠方という核家族においては、今のこの国では実際問題として、ほとんどこういう二者択一にならざるをえないのではないか? とも思う。

私だって、上述のようなイクメンたちと同様、我が子は可愛い。基本的には。でも、そう思えないときも多々ある。トイレだけが束の間一人になれる唯一の場所、と思いきや、トイレのドアをドンドンと叩かれ、「おとーたん、何してんのー!?」と呼びかけられたときには、「地獄の果てまで追いかけてくる」という表現しか浮かばない。それほどに、余裕をなくしている。

一般的に、男性はいわゆる「マタハラ」や「家事ハラ」を受けずに済むと考えられがちだが、私の場合、そうでもない。「子どもが熱出たので休みます」「保育園から電話があったので早退します」と言えば、「なんで君がそこまでしないといけないの?」「奥さんは何をやってるの?」「男としてどうなの?」といった非難も受けてきた。

私にこういう露骨な非難を浴びせてくるのは、なぜか決まって女性(未婚)社員。私が保育園にお迎えに行く日には、ほんの一時間早退するだけなのに、毎度、胃がキリキリと痛んだ。予定外の欠勤や遅刻早退を十二分に補ってあり余るはずのサービス残業(賃金未払い違法労働)を、普段しているにもかかわらず、「もっと職場にいられる環境づくり、できないんですか?」と言われたときには、呆然とした。彼女の普段からの言動を鑑みるに、「男のくせに」という偏見と怨念に満ちた攻撃意図を感じた。

『家事労働ハラスメント』(岩波新書)によれば、「家事労働は無視され、時に蔑視され、これを担った人々は、十分に外で働けないため、経済力や発言力を奪われがちな状態が続いています。これが、「家事労働ハラスメント」です。」ということだが、「十分に会社で働いているにもかかわらず、なお働き続けさせられ、家事労働を無視される」とか、「男性を家事労働から引きずり下ろし、妻への丸投げを強要される」というのも、ぜひつけ加えていただきたいと思う。