rincoror.in 共働き兼業主夫の戯れ言

支配し続ける母親からの脱却

2014.02

03

子育て / 兼業主夫雑記

2011年度 生きがいしごとサポートセンター阪神南UN発行『あん!Vol.5』掲載記事
取材先:母娘問題に取り組む自助グループ「オンリーワン」代表 伊藤さん(仮名)
文責:管理人

「あなたのためを思ってやってくれたことじゃない? いいお母さんじゃないの」——このような言葉に反発を覚えたことはないだろうか。「オンリーワン」代表の伊藤さんは、長年に渡る母親からの精神的虐待を「母娘問題」として提起し、会を立ち上げた。

世間には、母親の愛情は絶対的なもの、感謝して当然という通念が普遍の真理かのごとく蔓延しているが、愛情という美名のもとに子供の権利や人格を踏みにじり続け、子供の人生を自分の思い通りにしようと目論む母親もいる。「嫁姑問題や、肉体的虐待なら認められるのに、母娘問題は理解されにくく、いまだ世間は母親のことを悪くいう人に対して冷ややか。だけど事実として精神的虐待はある。それを訴えていきたい」と伊藤さんは力を込めて語る。「母は女王様で、私は奴隷だった。それならいっそ、あなたは奴隷よとはっきり言ってくれた方がわかりやすい」——人格支配は、教育や躾、思いやりといった大義名分を装ってなされることが多く、陰湿である。「誰にでも、立ち入られたくない私的な領域があるが、母はそこまで侵入し、しかも端からは、娘の方が甘えているように見える」——本来子供の責任であることを先回って横取りし、この子は私がいなければ何もできないと言う母親がいるが、実際は子供が無能なのではなく、自分の存在価値を捏造するために無能に仕立て上げるのである。「こんなことが続けば誰でも反発したくなる。それは正常な反応」と、親孝行ばかりが声高に叫ばれる世の中に伊藤さんは疑問を呈する。

母娘問題を抱えた人は孤立していると、世間的な価値観に飲み込まれ、自分が間違っているのだと思い込みやすく、鬱状態が続くことにもなるという。「似た境遇を抱えた他人の話を聞くことで、自分の身に起きていることも冷静に判断できる。母親の言動は不当であり、自分の不満は正当であると知ってほしい。それに気づけない人は、同じことを我が子にも繰り返すが、問題を正視できれば、これからどう生きていくかを建設的に考えられ、自分は同じことを繰り返さないでおける」と、伊藤さんは当事者同士で集まる意義を語る。勉強会や読書会も開催しており、自分を支配し続ける母親とは距離をおく必要があることから、シェアハウスの準備も進められている。

どんな親元に育ったとしても、子供は自分の責任で自分の人生を生きることができるし、生きなければならない。たとえ母親が変わらなくても、自分が変わることはできる。最後に「できるなら母の方も問題に気づき、変わってほしい。本当はもっと親孝行もしたい」と思いを語られた。