rincoror.in 共働き兼業主夫の戯れ言

「共働き家族研究所」がひどい件について兼業主夫の立場から

2014.07

19

子育て / 兼業主夫雑記

「共働き家族研究所」が拙い、ひどい件について、叩くママさんたちの言い分はよくわかるし、すでにいわれ尽くされているのかもしれないが、私も兼業主夫、男、夫、父親としての立場から。

子育て中の共働き夫婦、夫の約7割が「妻の家事ハラ」を経験

今回のような記事が出ると、決まって「『手伝う』ってなんだよ、当事者だろうが」という、ママさんたちによる批判が出るが、これはまったくもって同感。というか、こういう批判がわりとスタンダードになる以前から、私は自分の家事育児が世間的に「手伝い」としか見なされないことを、もどかしく思っていた。どれだけ疲れていようが、残業が続こうが、家事育児は綿々と続く。そんな家庭運用に携わる者として、ただ男というだけで「お手伝い」呼ばわりされるのは、差別であるし、侮辱ともとれる。

「よくお手伝いされていて偉いですね」と言われると、悪気がないのはわかるので申し訳ないのだが、正直、若干カチンとくる。「手伝ってる」んじゃねーよと。「偉いですね」とは。子供かよと。そもそもの時点で、対等な者扱いされていない感じがする。

私感としては、家族の一員として真っ当に家事育児に携わっているならば、自分の行いを「お手伝い」といわれることに、多かれ少なかれ引っ掛かりを覚えるはずだと思う。しかし、男の家事を終始「手伝う」と表現しているこの「共働き家族研究所」のアンケートに答えるにあたって、夫たちは誰も反感を、苛立ちを、せめて違和感を、引っ掛かりを覚えなかったのだろうか。私ならきっと書く。「なぜ『夫の家事』は当然のごとく一律に『手伝う』と表現されているのでしょうか? 私は手伝っているのではありません。よって、この中に適当な回答はありません。これはたんに言葉のうえの問題、揚げ足取りではありません。社会全体に引き続き悪影響をおよぼす、根本的な姿勢の問題です」と。(まあきっと、「その他」扱いで終わるのだろう)

しかも、このアンケートの対象は、妻もフルタイム勤務の共働きである。自分の家事労働を「お手伝い」といわれて平然としている夫は、逆に、妻の外での働きを、補助的なものとして軽視しているのだろうか。

これも多く指摘されたことだが、「家事ハラ」とはすでに、竹信三恵子さんによって定義済みの言葉だ。

家事労働は無視され、時に蔑視され、これを担った人々は、十分に外で働けないため、経済力や発言力を奪われがちな状態が続いています。これが、「家事労働ハラスメント」です。

岩波新書 家事労働ハラスメント

食事の支度や後片付け、洗濯、掃除、育児に親の介護……。本来、だれもが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が、不公正な分配によって、どのように生きづらさや貧困を招き寄せていくのか。終わりなき「見えない労働」を担う人びとが、社会から不当に締め出されている実態に光をあて、直面する困難から抜け出す道を内外にさぐる。

『家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)』Amazon 内容紹介

「共働き家族研究所」は、あまりにも幼稚なこととして「家事ハラ」を再定義してしまったわけだが、幹部たちはおそらく、上記のような問題提起として定義済みであることを知らなかったのだろう。だとしたら、この研究所は本当に真面目に共働き家族を研究しているのだろうかと疑いたくなる。日本の本当の「家事ハラ」問題をさほど真剣に考えていないおじさんたちが、流行りやすい語呂を取り込んだキャッチに安易に満足して企画を通したのではないかとの思いが拭えない。

それにしても、ムービーで描かれている夫たちの、なんと軟弱なことだろう。

お皿洗いありがとう。一応もう一度洗っておくね。
その一言が、俺を「食器洗い」から遠ざけた。

かくし味とか、いらないからね。
その一言が、俺を「料理」から遠ざけた。

早く終わったね。ちゃんとやってくれた?
その一言が、俺を「掃除」から遠ざけた。

あなたがたたむと、ヘンな跡がつくの。
その一言が、俺を「洗濯」から遠ざけた。

ちゃんと乾いてるかみせて。
その一言が、俺を「洗濯」から遠ざけた。

ずいぶん時間がかかるのね。
その一言が、俺を「掃除」から遠ざけた。

いいのよ、頼んだ私のミスだから。
その一言が、俺を「家事」から遠ざけた。

妻の何気ない一言が、夫の家事参加をさまたげている。
そんな事例があります。

家の中でも協力し合える「共働き家族」へ。
いっしょに考えていきませんか。

【妻の家事ハラ白書】総集編

……「もっと褒めてくれたってよかったのに」と、妻の言動に傷ついたかつての自分を、今子育て期である若い夫たちに重ね、今もなおせいぜい「お手伝い」というポジションに甘んじ続けるおじさんたちが垣間見える。

それくらいで家事から遠ざかってしまうものなのか。いやそもそも、家族全員の責務であるはずの家事、すなわち「暮らしの営み」から、家族の一成員でありながら「遠ざかる」なんていう選択肢があるのか。実際にアンケートに答えた夫たちが、みんなここまでひどいとは思いたくないが、フルタイム共働き夫婦の半数の夫が、「たまに手伝う」以下とは、予想以上のアンケートの結果に、あらためてショックを受けた。

はっきり言って、「妻の何気ない一言が、夫の家事参加をさまたげている」のではない。もともとやる気がないのだ。なにせ「お手伝い」呼ばわりされることになんの抵抗もない夫たちである。「妻の何気ない一言」を、家事から遠ざかるための格好の理由として持ち出しているに過ぎない。

我が家は子供が生まれる以前、夫婦で暮らし始めた当初から、とくに分担を決めるわけでもなく、お互いが進んで家事をしていたが、だからといって、ムービーで描かれているような妻からの発言を私が受けなかったわけではない。それどころか、ムービーの妻たちは全然優しい思えるくらいの言い方をされてきたし、それが発端となりよく喧嘩もした。

私も元々きめ細かい性格なので、「雑だ」と指摘されることはなかったが、要は私のやり方が、妻自身がそれまで「普通だ」と思ってきたやり方と違うということでうるさく言われ、それに対して私も腹を立てた。私の言い分は、正しいとか間違っているという問題ではなく、ただ自分のやり方と違うというだけで、なぜ私が間違っているかのような物言いをされなければならないのか、ということに尽きた(私から見れば、そう思えたということだが)。中には妻の言うことがもっともな私の間違いもあったのだが、要は、言い方の問題だった。

だけど、それでやる気が削がれるとか、家事から遠ざかるということはなかった。それどころか、そんなに文句を言われるくらいなら、もう全部俺がやるから何もしてくれなくていい! とよく思った。ムービーの夫たちを見ていると、歯がゆい。